金融庁の中間取りまとめでみる銀行カードローンの見直し

金融庁の中間取りまとめでみる銀行カードローンの見直し

貸出残高が急増したことからトラブルも増加傾向にあることが報じられている銀行カードローンですが、監督官庁である金融庁は、2017年9月からカードローンの業務内容の実態を把握するため実施していた検査の中間とりまとめを発表しました。
今回は、中間とりまとめから銀行カードローンの業務見直しがどのように進んでいるのかを見てみましょう。

銀行カードローン検査の概要

銀行が提供する銀行カードローンは、まとまった借り入れができることと実質年率が低いこと、長引く低金利により新たな融資先として注目を集めたことから貸付残高が急増しました。
消費者金融カードローンを抜いて個人向け無担保融資の過半を占めるに至りましたが、貸付残高の増加と歩調を合わせるようにトラブルが急増したことから、2017年3月に業界団体である全国銀行協会(全銀協)が「申し合わせ」を発表するなど、審査・融資の見直しが進んでいます。
金融庁はこの申し合わせを受けて、2017年9月から業務運営の詳細な実態把握を行うために、特に貸出残高の多い12行をサンプルとして検査を実施、今回の中間報告の発表となりました。

主な検証結果(貸し出しまでのポイント)

保証会社審査への依存

12行のうち9行は、申し合わせまでは返済能力審査を保証会社に依存していましたが、申し合わせ後は9行中6行で銀行自ら審査モデルを整備するなどの動きが進んでいます。また、残る3行についても独自の分析を通じた審査基準の改善等を検討中として、貸し出し前の審査の見直しが進んでいることがうかがえます。

年収証明書の取得基準

年収証明の取得基準を見てみると、調査対象となった12行全てで融資額が200万円から500万円を超えるまで不要としていましたが、申し合わせ後は12行中11行が貸金業法と同水準の50万円超に引き下げ、残る1行も引き下げを検討中としています。

融資上限枠

融資上限枠について見てみると、年収と同額までや他行融資を勘案しないなど銀行ごとに独自の基準を導入していましたが、申し合わせを境に12行中7行が他行からの借り入れなどを含めて年収の2分の1を上限として定め、残る5行も他行融資を勘案した融資上限枠の設定等を検討中と回答しています。

主な検証結果(貸し出し後のポイント)

融資途中の返済を見る「途上管理」

融資途中の「途上管理」については、調査対象となった12行中8行では銀行自らが途上管理を実施していませんでしたが、銀行自らが能動的に8行中3行に収入・勤務先の変動を確認する等の動きがあります。金融庁は12行すべてに改善を促し、銀行側は融資実行後の年収証明書の取得などを検討しています。
また、申し合わせ前後に関わらず12行中5行顧客からの相談窓口で返済期間の猶予等に対応していましたが、金融庁は12行すべてに改善を促し、これを受けて顧客相談対応の拡充を検討しています。

利用者勧誘の「広告・宣伝」

各媒体での広告・宣伝の内容については、申し合わせ前は12行全てで「年収証明書不要」等の文言がありましたが、申し合わせを受けて12行全てで削除され、テレビCMでも貸金業の自主規制ガイドラインと同水準の制約を導入しています。

営業店・行員に対する業績評価体系

営業店・行員に対する業績評価体系では、12行全てでカードローンの不適切な契約を招きかねない問題事例はなかったとしていますが、カードローンと他の消費者ローンの同時販売を奨励していた例が1行であり、改善に向けた対応が検討されています。

明らかになった改善点と今後の課題

明らかになった改善点

今回の中間とりまとめでは、顧客の状況変化を把握するだけでなく、カードローン以外の個人向け無担保融資を監視して多重債務の発生抑制や利用者保護等、実際の施策につなげる必要があることが明らかになりました。
そのため、カードローン利用者からの相談を受け付ける窓口や救済措置の拡充が重要であるとまとめられています。
また、信用情報機関に登録される融資内容のばらつきが大きいことから、この統一も今後の重要なポイントとしてあげられています。

今後の対応

これまでの検査を通じて一定の改善が見られることから、今後も継続的なフォローアップを続けるとともに、改善点としてあげられた部分については今後の改善を促すとしています。

おわりに

銀行にとって厳しい内容となった今回の中間取りまとめでは、「申し合わせ」が一定の効果を発揮して、銀行カードローンの広告や審査・貸し出し内容に一定の見直しが進んでいることが明らかになりました。
今後も継続的なモニタリングとフォローアップを明言していることから、金融庁の今後の動向には要注目と言えそうです。

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