急増する奨学金返済の金銭トラブル。その対処方法は

急増する奨学金返済の金銭トラブル。その対処方法は

受験シーズンも一段落したことで気になるのが、進学に必要な費用の調達方法です。奨学金の返済が原因の金銭トラブルが大きく取りあげられていることから、利用に二の足を踏んでいる人は少なくないようです。
金銭的負担が少なくない進学のときに頼りになる奨学金ですが、実際に借りるときにはどのような点に注意するとよいのでしょうか。
今回は、奨学金を借りるときのポイントと、ほかのローンと比べたときのメリット・デメリットを見てみましょう。

約4割の学生が利用している奨学金

利用者が増加傾向にある奨学金

奨学金を借りていた学生は、2006年度は27.1%だったのが、2016年度には37.7%と10年で1.4倍にまで増加するなど、進学時に奨学金を借り入れることは当たり前になりつつあります。
この背景には家計の収入の減少と大学の学費高騰があるといわれ、国税庁が実施している「民間給与実態統計調査」によると、2014年度の平均年間給与はピークの1997年から約50万円も減少。これと反比例するように、学費は授業料だけでも国公立大学でも年間約54万円、私立大学では平均年間約86万円もかかると言われています。

奨学金を借りるには「保証人」が必要

進学にともなう金銭的負担を軽減するために活用されている奨学金ですが、給付型奨学金もあるもののそのほとんどは貸与型奨学金であり、低利率で借りられる国の教育ローンであるのが実態です。
また、奨学金を利用するときには「連帯保証人」と「保証人」を用意するか、保証機関の保証が必要となります。ほとんどの場合保証人と連帯保証人は、身内でまかなわれます。

奨学金返済をめぐって増加している金銭トラブル

返済できないケースが急増している

奨学金業務を実施している日本学生支援機構(JASSO)によれば、1件あたりの貸与型奨学金の平均借入額は第1種(無利子)で237万円、第2種(有利子)で343万円とされています。
給与所得者として生活するのであれば、これだけまとまった金額を借り入れる機会はそれほど多くはありません。そのため、奨学金の返済が原因の金銭トラブルが急増していると報じられています。

わずか5年で10倍に急増した返済事故

奨学金の返済を一定期間滞納すると、通常のローンと同様に個人信用情報機関の事故情報(ブラックリスト)が記録されますが、事故情報の登録件数は、2016年度は2010年度の約5倍となる21,242件が登録されています。
さらに、9カ月延滞すると一括返済を求める裁判を起こされることがありますが、この件数も2016年度には9,106件と急増しています。また財産の差し押さえを含む「強制執行」や「自己破産」数百件程度が奨学金の返済が原因とされています。
その原因として、正社員として就職できずに非正規労働者として低賃金労働に甘んじるケースや、正社員として就職できても就職した企業が「ブラック企業」で就職から数年すると健康を害して働けなくなり、奨学金を返済する金銭的余裕がないことがあげられます。

奨学金返済の金銭トラブルとその対策

一般のローンと同様に返済義務がある奨学金の保証人

奨学金は借りた本人に返済義務がありますが、本人が返済に行き詰まると残る債務は延滞金とあわせて連帯保証人や保証人に請求されます。しかし、奨学金の保証人や連帯保証人として登録している場合、単なる名義貸しやどれだけ借りているのかを把握していないケースが多く、大きなトラブルとなることは珍しくありません。
しかし、奨学金でも保証人や連帯保証人として登録されていれば、一般のローンと同じように契約者が返済できなくなると、保証人や連帯保証人が返済を肩代わりすることになります。

機関保証を利用する

このような金銭トラブルは、仮に上手に解決しても大きな禍根を残します。では、「保証人になってほしい」と言われたらどうすればよいのでしょうか。
もっともトラブルが起きにくい解決方法は、「機関保証をすすめる」ことです。保証会社に保証料を支払うことで保証人を務めてもらう機関保証は、金銭負担が生じるものの、連鎖破産を防ぐためには効果的です。

ファイナンシャルプランナーに相談してみる

また、奨学金を借りる前に家計のやりくりでまかなえないかも再検討してみましょう。特にファイナンシャルプランナーやアドバイザーに相談することは、相談料を上回るリターンがあることも珍しくないため、一人で悩むくらいなら積極的に相談をしてみるとよいでしょう。

最初から教育ローンを借りるのも選択の1つ

そもそも貸与型奨学金を利用するのが将来設計も定まっていない学生本人であることが問題の原因であり、すでにある程度安定した収入がある親が奨学金ではなく教育ローンを借りるのも選択肢の1つです。
貸与型奨学金と比べると借入条件では有利とはいえない教育ローンですが、特に地方銀行が提供する教育ローンでは卒業までは無利息や返済猶予を設定しているものもあるため、計画的に返済を進めることで比較的金銭負担を抑えやすいものもあります。

おわりに

大きな問題として取り上げられる機会が増えている奨学金の返済トラブルですが、貸与型奨学金が多くを占めている以上、計画的に付き合うことが欠かせません。
奨学金のメリット・デメリットをきちんと把握した上で、適切に使い分けることがトラブルを防ぐ一番の方法といえるでしょう。

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